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The one that got away.

第8章 目的





「さあ遠慮は要らないよ座ってくれ」

「…ありがとうございます」


社長やボスと呼ばれる人物に言われた通りソファーに座った緑谷と轟。彼らはつい数分前まではメインホールにいたがこの部屋まで案内された


「パーティーは十分に楽しんでもらえたかな?」

「はい。けどいいんですか?主催者である貴方が抜けてしまって」

「あぁ、別に構わないよ。…皆さんの目的は私ではないからね」


そう言いながら男は扉の近くに立っている黒服の男が用意したコーヒーを啜った


「じゃあ何だっていうんだ、お前じゃなければ何が目的で人が集まってるんだ」

「ちょっ、ショート」


いかにも警戒していますという風に直球にもの申す轟を緑谷は止めた。そして男をチラリと見たが彼は嬉しそうに二人を見るばかりだ


「デク、私は構わないよ。寧ろショートのその物言いを見れただけでも嬉しい。いやぁ、テレビや雑誌で見る通りだ」


そして男は興奮したような素振りを見せた後、落ち着きを取り戻すため少し咳払いをしてから話し出した


「知っての通り、私はこの国でも指折りの大手企業の社長だ。そして自分でも言うのはなんだがヒーローというものが好きでね、勝手にスポンサーもさせてもらっている。まぁ、君たちのような人気ヒーローのスポンサーにはなっていないが…どうだいこの際だ、私に支援させてもらえないか?」

「遠慮しておきます…僕たちは私欲のためにヒーローをしているわけじゃない」

「…流石デク、ヒーローらしい答えだね」


そう。事前の作戦の情報通りこの男は大のヒーロー好きでありヒーローの支援者でもある。

そもそも支援者というものはヒーローが活動中に出してしまった損害などを負担してくれる者だ。

一昔前までには居なかったが、個性が混沌を招く現在、このようなことを行いヒーローを支えようとする企業が増えたのだ


だがそれは表向きである


支援と言えば聞こえはいいが、その代わりにと言ってCMや雑誌などの広告に使用されることがほとんど。

そして使用されるということはそれに見合う金額がもらえるということでもある

デクやショートなどと言った人気ヒーローには関係が薄いことだが他のヒーローたちはそうではない

スポンサーとの繋がりが人生を左右することもある

言わば、彼らの駒になれば上手く立ち回れるのだ


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