第7章 恋人(仮)作戦その2
黒服の男二人は爆豪と凛に近よりながら怪訝そうに二人を見た
「今はメインホールでパーティーの筈だ。それにこの部屋はボスの……お前たちここで何をしている?」
男の質問に爆豪は舌打ちをしそうになった。自分の失態とはいえこんなところでバレてしまっては何も判らず仕舞いだ
力ずくでやるしかないと思い爆豪が手に力を込めた時だった
『そんなに怖い顔しないでお兄さんたち。私、部屋で貴方のボスを待ってたの。けど彼、最近全然構ってくれないから……ね?』
妖艶に微笑んだ凛は媚びるように男たちに言った。あまりにも憂いを帯びるそれを見た男たちはごくりと生唾を呑んだ
「おい……っ!?」
「「!?!?」」
爆豪が苛ついた声で凛を制止しようとしたときだった。爆豪の手を凛が強く引いた。
そしてその手を腰まで持っていかせるともう片方の手で爆豪の頭を自らに引き寄せ、その真っ赤な唇で爆豪に口づけをした
「おおお前たち何を!?」
『……んぅ』
「っっ!!」
爆豪は目を大きく見開き凛を見た。
口に触れる柔らかなものと彼女の顔の距離の近さが自分の勘違いではないと告げている
そして、僅かに声を漏らした凛に何故だが無性に興奮した
『……っんぅ!?………ぁ』
「…っは」
爆豪は凛の頬を両手で覆うとその真っ赤な唇に噛みついた
そして、一度離し凛が息を吸おうとするのと同時にもう一度深く口づけをした。そうしている間にも長く静かな廊下には二人の間から漏れた小さな水滴音が響いた
「っもういい勝手にしてろ!!!行くぞ!!!……おい!!」
「あ、…あぁ」
顔を赤らめた黒服の男が同じく顔を赤らめ凛を見つめる男に声をかけ去っていった
そして男たちが廊下の角を曲がるのと同時に爆豪は凛の後ろにあるドアノブを引き、部屋の中へと押し入った
どのくらい経ったのだろうか。
感覚では分からないが経った1分2分かもしれない…
まるで夢心地のように夢中で目の前のものを貪った
背中をトントンと叩かれていることに気付き我に返った爆豪は目の前で苦しそうに目を瞑る女を見つめた