第2章 来訪者
ヒーロー協会が経営するビルの一室。そこには3人の若きヒーローが集まっていた。
次期平和の象徴と呼ばれるヒーロー【デク】
女性人気No.1ヒーロー【ショート】
ヴィランっぽいヒーローNo.1【爆心地】
今や彼らを知らない人がいないほどの人気ヒーロー。今後の日本を背負っていくのは彼らだろう。と誰もが言う。
そして、彼らを含め、この世代のヒーロー達は黄金期と言われ人気だけではなく、それに伴う実績を残している。
「ッチ、いつになったら俺は帰れんだよ」
「か、かっちゃん落ち着きなって。多分もうすぐだよ」
「多分って何だよ多分ってのはよぉ!!」
「え、えっとそれは……ね、轟君?」
「?おぉ。まあ、気長に待てよ爆豪」
「はぁ?こっちはテメェらと違って忙しいんだよ。こんなとこで時間潰せるかっ!」
昔よりは大人しくなったとはいえ、爆豪の口の悪さは変わらない。そして、爆心地がデクやショートと折り合いが悪いという世間の噂もあながち間違ってはいない
そして、爆心地と言えば二十歳を過ぎた頃に自身の事務所を同期である烈怒頼雄斗と立ち上げたことで有名である
「けど今回は二人も相澤先…イレイザーヘッドから呼ばれたんだよね?他のA組の皆にも聞いてみたけど、連絡来たのは僕たちみたいだけだし。……何か大きな案件かもしれない」
「……まあ、確かに俺達を呼ぶってことはただ事じゃねえな」
「……ッチ!!」
「かっちゃん?何処行くの?」
「あぁ?便所だわクソが」
「あ、あぁトイレね…」
勢いよく立ち上がった爆豪がズカズカと足音を立てながらこの部屋で唯一の扉へと向かって行った。来たときにも思ったことだが、広いわりには長テーブルとソファーだけという…何とも簡素である。
「おい爆豪。扉出て左だ」
「っ分かっとるわ!」
「?おう」
お前と話すと苛つくんだよ!と爆豪は悪態をつきながら扉を開こうとした。が、開こうとした手を扉の前で止めた
「かっちゃん?どうしたの?」
「……やられた」
「え、どういう…って何これ?」
「……糸だな」
「糸だよ!正確には蜘蛛のね」
「あぁ蜘蛛か。……っ誰だ!?」
3人は全く気づかなかったが今まで彼らが座っていたソファーに一人の男と一人の女が居た