第6章 少女の消失
「先生冗談キツいって」
「ほ、ほんとに!相澤先生でもジョークとか言うのな!」
「今日ってエイプリルフール?じゃねえし…!」
「……お前ら」
乾いた笑いを見せる生徒たちに相澤は少し眉を潜めた。だが、その声色はどこか憂いを含んでいた
「先生、冗談なんだよな?……なあ!」
「そうだよ先生!何かの間違いでしょ?」
心配そうに相澤を見つめてくる生徒たち。その中の一人がポツリと言った
「相澤先生…事実、何ですね」
「…あぁ、何度もそう言ってるだろう」
同じことを何度も言わせるなんて合理性に欠ける。と相澤は頭を無造作にかいた
「う、そ…だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!!」
「ちょっ、デクくん!?」
ガタンと机を揺らしたのは緑谷だった。緑谷はそのまま相澤に詰め寄るように前に出ようとしそれを麗日が止めた
「嘘だ!!!凛ちゃんが雄英を辞めるわけなんてない!だってここは僕とかっちゃんと凛ちゃんの……!!!」
「いい加減にしろ!!!!」
「っ!!」
興奮して叫ぶ緑谷。だがそれ以上に声を抗えたのは相澤だった。個性を発動させたときのように髪が逆立った彼の目
そこには確かに怒りが含まれていた
「…緑谷、お前そういう所直さねえとヒーローには向いてないぞ。他の奴らもだ。……ヒーロー目指すなら大人になれ」
「…次の準備しとけ」と言い残した相澤は教室を後にしようとした。だが
「…何だ、お前も何かあるのか」
「……」
先程からただ一人黙りを決めていた爆豪。
いつもからは信じられないほど静かな彼はその赤い目で相澤を見ていた
疑い、憂い、失望、負の感情全て
全てが見透かされているようだった
相澤は逸らされることのないその目から、先に意識を背けた
見ていると、全てを話してしまいそうになったからだ