第3章 爆豪と彼女のエトセトラ
「なあ勝己、お前瞬木さんと幼馴染みなんだってな!」
「…だったら何だよ」
それは中学2年の頃、クラスに忘れ物を取りに行った凛は隣のクラスで爆豪が友達と話しているのを聞いた
「瞬木さんって緑谷とつるんでるから変なやつと思ってたけど、よく見たら結構可愛いし」
「それ俺も思った。可愛いっていうか…あーいう子の方がギャップがすごそうだよな」
「以外といい声で啼くんじゃね?」
中学生なんて性に目覚めたばかりだ。こんな話ばかりをしていて女子に嫌がられているのは知っている。けれども自分が題材にされてこんなことを言われているなんて知りたくもなかった
「勝己はどう思うよ?やっぱり幼馴染みとそーゆうこととか考えたりすんの?」
凛は爆豪が何と答えるのか気になった。
何を隠そう、横暴で王様気取りの彼だが凛にとっては大切な幼馴染み
そして、絶賛片思い中の相手だ
もし、彼が少しでも好意があるようなことを言ってくれたら…
そんな淡い希望を抱き足を止めたときだった
「ッハ!くだらねえこと言ってんじゃねーよ。…誰が嬉しくてあんなブスなんかと」
「…え、まじで?ちょっとくらい気になったりしねーの?」
「はぁ?んなもん微塵もねーわ!!!逆にあったらキメェ」
「うわぁ。まじかよ勝己!」
流石にヒデェ!!と彼を非難すると共に下品な笑い声が廊下まで響く。
凛は震えている足を無理やり動かした
彼に好かれていないことなどは分かっていた
自分が可愛くもなければ、綺麗でもないことも
それでも、少しでも。とありもしない希望を抱いた
自分が爆豪に片思いなんて…それ事態が迷惑な行為だ
『っうぅ~』
この日、初めての失恋を経験した凛は自宅のベットで一人、ひっそりと声を漏らして泣いた