第2章 運命の歯車 《信長様編》
天守に二人きりで入り、見晴らしの良い縁台から、安土城下の様子を肩を並べながら見下ろし、二人は話が尽きなかった。
昼餉を共に食しながらも、話は止まらず、、、
信長は、茉莉花と会えなかった日々のことを色々と聞いていた。
また、茉莉花も信長の事を知りたいと思うのであったが、自分からは切り出せずにいた。
それを察したのか、信長は自分のことも、ポツリポツリと、話し始めた。
その信長を熱い眼差しで見つめながら、茉莉花は会えなかった時間を埋めるかの様に、夢中で聞いていた。
幸せな時間は、瞬く間に過ぎもぅ、辺りは薄暗くなり、茉莉花は屋敷に帰らなくてはならない事に心が寂しくなり、ふっと顔に影がさしたのを、信長は見逃さなかった。
『茉莉花。
そのような顔をするな。
お前はこの信長と見合いをした、ただ唯一の女子なのだ。
この、言葉の意味は分かっておるだろうな❓』
『、、、、、え❓』
茉莉花は信長が言わんとしてあることは、何となく予想しているが、それは自分が自惚れているだけではないかと思い、信長の口からどうしても聞きたかった。