第1章 私のこころの行方
そう促され、話の続きを話し始めた。
『三人目の浪人をやっとの思いで、打ち倒し、雨でびしょ濡れになりながら肩で息をし、ようやく四人目の浪人の刀を受け止めて弾き返そうとしましたが、最早、力の限界に来ており、腕に力が入らない状態。
だんだん浪人の力に押され、片膝が地面についた時、ふと、人の気配を感じたと思った瞬間、その対峙していた浪人達がわずかばかり後ずさって、ドサッドサッと倒れたのです。
それを見た瞬間、私はそのまま気を失ってしまい、
気がついたら、廃寺の中で横になっておりました。
そして、どの位経ったのかわかりませんが、目覚めた時に隣でお酒を飲んでおりましたのが、謙信様でございました。
いえ、その時はお名前も存じませんでした。』