第1章 私のこころの行方
『よい。
俺が尋ねておるのだ、、、かまわぬ。』
『実は、謙信様と初めてお会いしたのは、もう2年程前になります、、、。
その時が本当に初見でございました。』
信長は、淡々と話し始めた茉莉花の顔をまじまじと見つめながら、話の先を促した。
『あの日、私は父の愛馬で遠駆けに供を連れずに一人で出かけておりました。』
『ほぉ、、、
一人でか?』
『はい。
ところが、突然雨に降られ、早駆けで帰るにはあまりにも遠かったため、近くの廃寺で雨宿りをしておりました。
ところが、その廃寺に浪人が5人雨に降られ雨宿りをしに入ってきました。
当然私は見つかってしまい、身ぐるみを剥ごうと考えたのでしょう。
その浪人に襲いかかられましたが、私は少し武術を嗜んでおり、遠出する際には必ず小振りな脇差ですが、刀も持ち歩いておりましたので、一人目、二人目を居合で倒し、三人目の刀を交わしたところで、寺の外に出てしまい、雨の中三人の浪人と対峙する形になりました。』
信長は茉莉花の話を聞きながら、少し楽しそうに目を細めてきた。
『ほぉ、、、
五人を相手にしたか、、、
して、、、❓』