第1章 私のこころの行方
昼過ぎから、紫乃とその下の女中が三人ほど手伝いを買って出てくれたので、有り難くお願いをした。
そうして、7品程の惣菜と食事、無事、夕餉の膳は人数分出来上がり、仕上げに食後の甘味も用意されていた。
謙信は、甘いものが得意ではない為、甘さを控えめに作られたものが出された。
謙信は、今日の夕餉の膳は見事に全て平げ、尚且つ甘味まで完食したのである。
これも全て茉莉花が、謙信の為にと作ったせいである事は、景家も、紫乃も承知していた。
『茉莉花!!』
『はい。
謙信様、如何でしたでしょうか❓』
『聞くまでもない。
全て食することなど今まで無かったこと‼️
今まで食べたどの食事より、美味かったわ‼️
料理番も茉莉花に味付けを習え。
あははははーーー』
あの日、、、
謙信が伊勢姫を失った日以来、本当に心から楽しい笑い声を上げたように聞こえた。