第1章 私のこころの行方
『茉莉花すまなかったな。
今後、景家はうるさく言わないであろう。
気を悪くするな。』
『そんな、、、、、謙信様、、、、。
景家さんは、悪くありませんよ。
心から謙信様を慕い、お家、お国のために働いておられるのです、
そんな物言いは、悲しすぎます。
気を悪くするなんてありません。』
『そうか、ならば良い。
まずは、朝餉だ、茉莉花。』
『はい。
みなさま大変お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。』
と、言い、この茉莉花の一言で女中たちが椀物など、温め直したものを膳に並べた。
これは、紫乃の指示で謙信の性格上、こうなることを予測して、下の者たちにさせたのであった。
朝餉が終わり、今日は、紫乃と共に夕餉の献立を考える予定である。
気心の知れた女二人は、和気藹々と、しかし二人が納得できる献立をと話し合いながら、謙信の好むであろう品々を纏めた。
そこには、茉莉花の心からの感謝の気持ちが込められた献立になった事は間違いない。