第1章 私のこころの行方
『本日は、こちらをお召しになっていただきます。』
と、藍色の生地に可愛らしい花が左肩から袈裟掛けのように流れている着物を持ってきた、そうして手際よく茉莉花を着替えさせると、髪を結い始め、出来上がりを鏡に映してみるとどこから見ても、何処かの姫君になっていた。
紫乃は満足気に、
『茉莉花様は本当に美しいこれだけの着物が負けております。』
と、ウットリと呟くと
恥ずかしそうに、、
『紫乃さん褒めすぎですよ、、、。
着物が素晴らしいのと、紫乃さんの腕が良いから、そう見えるんです。』
『滅相もございませぬ。
この着物を始め、この度謙信様がご用意されたお召し物などは、全て着る人を選ぶ者なのです。
恐らく、茉莉花様だからこんなにあつらえたように着こなすことが出来るのでございます。
他の方だと、着物に着られてしまいます。』
『そうなんですか❓
景家さんが謙信様の指示で揃えてくれたようなのですが、、、』
『ええ。
景家様は、謙信様の事が良くおわかりですから、、、流石です。』
と、またまた、朝から話に花が咲いて
何とも賑やかな声が部屋の中から聞こえてくる。