第1章 私のこころの行方
そうして翌日の朝、紫乃が部屋の前に座り
『茉莉花様、紫乃でございます。
ご用意を致します。』
と、襖を開けて入ってきた。
『おはようございます。紫乃さん。』
『今日はお早いお目覚めでございますね。』
『ええ。
昨日は宴のあと謙信様と一緒にお酒を頂いたのですが、それが心地よくなって朝までぐっすりと眠ることができました。
目覚めもとても、清々しいです。』
『それは、ようございました。
では、ご用意をさせていただきます。』
と、着物や簪など広蓋(こうがい)に綺麗に並べて持ってきた。