第1章 私のこころの行方
なんだか、おかしな理由に思えたが、謙信がそういうのである、茉莉花はそうしてあげたいと思った。
『わかりました。
でも、謙信様。
私、実は泣き虫なのでございますよ。
涙など流さない気の強い女子だと思われていたかもしれませんが、本当はとても泣き虫なのです、、、。』
ふふふっと儚く微笑んだ。
『ならばその泣き虫と言う虫は、俺が切って捨ててくれよう‼️
さすれば、お前はこの先泣かずに済むだろう。』
と、謙信が言った。
その言葉を聞いた、茉莉花は箸が止まり、信玄は甘味を落とし、景家は酒の並々と入った徳利を全てひっくり返した。
もちろんその場にいた者、皆驚きを隠しきれなかった。
謙信が、、、、、、
あの軍神と呼ばれた上杉謙信が、この様な事を言うなどど誰が想像しただろうか❓‼️
一瞬の静寂の後、茉莉花が
『あははははっ。』
と今まで聞いたことのない様な大きな声で笑ったのだ。
そうして、
『いくら、軍神と呼ばれる謙信様でもこの虫は退治出来ないかもしれませんよ‼️』
と、謙信に食い下がった。
『俺に出来ぬことはない‼️
茉莉花見ておけ。
必ず退治してやる。』
『あはは、、、、。
謙信様、茉莉花はその日をお待ちしております。』
『ああ、楽しみに待っているがよい。』
と、二人はとても楽しそうに笑いながらそんなやりとりをしていた。
もちろん。
広間に同席していた者達は、このやり取りに驚きすぎて、身動き出来ないのだ。