第1章 私のこころの行方
そうして、湯浴み後に橙色の生地の裾の部分に流れるような花の刺繍が施された着物の上に鶴の刺繍がされている打掛を羽織り髪は、尾長に結わえられ、宴の広間の襖の前で紫乃が、
『茉莉花様のお支度が整いましてございます。』
そぅ声をかけると目の前の襖が両方に開き
襖の前に、正座をしていた茉莉花が中にいる皆に見える形になった時、茉莉花は
ひとつ両の指先を膝の前で着き、頭を下げ、深々とお辞儀をした。
そうして、楚々と立ち上がり広間中央の上座に座る謙信に向かい、打ち掛けの裾さばきも見事に坐して、とても通る美しい声で
『本日は、私の為にこの様な豪華な歓迎の宴を催して頂き、謙信様には心からお礼申し上げます。』
と、茉莉花はまたお辞儀をした。
謙信は、満足げに
『礼など良い、俺が勝手にしたまで。
さぁ、今日はお前の歓迎の宴なのだから存分に楽しめ‼️
早く此方に来い‼️』
と、言われ
『はい。』
と、微笑み謙信の隣に座った。
と、茉莉花はすぐに広間中が、ざわついている事に気付き、謙信を見上げると、
『気にするな。』
と一言。