第1章 私のこころの行方
『失礼いたします。茉莉花でございます。』
襖を開け、入室し1つだけ空いている、謙信様の隣に座る。
こんなに、賑やかな朝餉もあるものなのかというくらい楽しい朝餉も終わり、
謙信から、今から春日山城の城下を案内して回るとの話をされたので、そのまま謙信に連れられ、城下に、出かけた。
ところが、城下の人々の視線が痛く刺さる感じがして、茉莉花はどうしていいものか、困っていたが、それを察しのか謙信が
『一頻り見て回っ真た後は、少し遠出をする。
馬に乗るぞ!だが、今日は俺がお前を乗せてやる。』
と、まるでの茉莉花心の中がわかったかの様な言葉に、茉莉花はとても嬉しくなり、
『はい。』
と、大輪の花のような笑顔を謙信に向けたのである。
その笑顔を、謙信は心の中で待っていたのであろう。
謙信もフッと微笑んだ様に茉莉花には見えた。
そうして、二人は馬に乗り山の中の綺麗な河原に着いた。