第1章 私のこころの行方
翌朝、女中頭が着替えの手伝いに部屋に来るまで、熟睡していたようで、女中頭の声で飛び起きた。
『ご、ごめんなさい。
私としたことが、、、
こんな刻限まで起きられないなんて、、、
お恥ずかしい。』
『いえいえ、遠い道のりを馬に乗られて来られたのです。
疲れて当たり前でございます。
何も、恥ずかしいことなどございません。
男の方でも、身体が悲鳴をあげる道のりです。』
そう、母親のように優しく言葉を掛けられ
『本来ならば、もっとおやすみいただきたいのですが、謙信様が首を長くして、茉莉花様との朝餉を楽しみにしておいでですので、心苦しくも、此方まで、お迎えに上がったのでございます。』
『まぁ、そうでしたか。
ありがとうございます。
色々とお気遣い頂いて、申し訳ございません。』
『いえ、気など使っておりません。
私が、こんな事を言っては恐れ多いのですが大変お気を悪くされてしまったのなら、申し訳ございません。
私は、茉莉花様の事を娘の様にお世話をさせていただきたいと考えております。
実際には、娘はおりませんが、心から茉莉花様のお世話をしたいと、勝手に考えておりました。
ご迷惑でしたら、下がります。ので、、、』
と、寂しげな顔で言われてしまえば、
心の優しい茉莉花の事、断れるはずもなく