第1章 私のこころの行方
『さて、明日から俺の稽古が始まるのだ。
今日は、湯浴みをして、ゆっくり休め。
手は抜かぬからな、茉莉花。』
『はい。
ありがとうございます。謙信様。』
長い廊下を独り歩きながら、謙信様は、本当に女嫌いなんだ、、、
お城の皆さんの反応を見ていると嘘ではない様だし、、、、
それならばどうして、私にこの様に良くしていただけるのだろう、、、
などといろいろ考えたが、答えなど出るはずがないまま湯殿に着いた。
そうして、大きな檜のお風呂でゆったりと、手足を伸ばし、髪を洗いゆっくりと温まって身体の疲れを取っていた。
湯から上がり、与えられた部屋に戻り襖を開けると部屋の奥の間にきちんと用意された、ふかふかの褥に横になると、気を張っていたから気づかなかったのか、疲れていたのだろう。
褥に吸い込まれるように眠りに落ちていった。