第1章 私のこころの行方
この言葉を受けて、女中頭はどこかの国の姫君と伺っていたのに、、、
なんと言う事、、、
てっきり、高飛車で鼻持ちならない態度を取られると思っていたのに、、、
しかも、気を使わせない様に、私達のような下の者にまでこんな気配りをされて、、、
謙虚な姫様でいらっしゃる。
その優しい気持ちを、大切にしたいと、考え出しゃばる事く、、、
『では、御ゆるりと夕餉をお楽しみください。』
そう言って、頭を下げ、退室して行った。
そして、部屋まで迎えに着た、景家と共に皆の待つ、夕餉の広間へ向かった。
その途中、すれ違う人達は茉莉花の事を好奇心からなのか、不思議そうに見つめながら、ため息と共に密やかに囁きが聞こえて来た。
《どなただろう❓
もしかすると、噂の謙信様の御正室になられる方かも知れん。
ああ、あの女嫌いの謙信様が連れてこられたと言う方か、、、
やはりな、どうりで美しく気品漂う。》
謙信が連れてきたと言うだけで、あっという間に城中に噂が飛び交い、すれ違う人達はみな同じような事を小声で話しているのが、嫌でも聞こえてくる。
それを景家は、嬉しそうに、だが、軽く咳払いをして見せ、方々に牽制をしながら広間にたどり着いた。