第1章 私のこころの行方
そんな様子を見ていた、茉莉花の着替えを手伝った女中達は、
『本当にこんな美しい姫君は、今までお会いした事もございません。
私共は、着付けと御髪を整えさせていただいただけですので、、、
姫様の持っていらっしゃる美しさを表現できるお手伝いが出来て、光栄でございました。』
と、女中頭がにっこりと嬉しそうに微笑んだ。
『さぁさ、謙信様も首を長くしてお待ちになられて居るはずです。
早く、広間へ向かいましょう』
『はい。』
『行ってらっしゃいませ。』
『ありがとうございました。』
そう言って頭を下げた私に、女中頭は、
『とんでもございません。
これからも何でもお申し付けください。
私共は、謙信様の御正室となられる方の身の回りのお世話をさせていただけるのが生きがいでございますから。』
『え❓
いえ、、、。
私は、その様な身分ではございません。
それに、謙信様の御正室なんて、、、
皆さま、考え違いをされて居ると思いますよ。
私は、しばらくお世話になるだけの者ですので、皆さまお気に為さらずにお願いします。』