第1章 私のこころの行方
そこに襖の外から、
『茉莉花居るか❓』
と、謙信が声を掛ける。
『はい。
謙信様。』
スッと襖が開き、謙信が部屋に入ってきた。
後ろ手に襖を閉めて、茉莉花の側に腰をおろした。
茉莉花は、姿勢を正し謙信に向き直り
『謙信様。
この様な、豪華な品々と素敵なお部屋を用意して頂き、身に余る光栄です。
一瞬、どこかのお姫様にでもなった気分になりました。』
と、ニコニコと満面の笑みで謙信にお礼を述べると、謙信は、
『ふっ。お前は、欲のないやつ、、。
ここにあるものは、全て急ごしらえで、景家に集めさせたものしかない。
俺の趣味ではない。』
と、謙信が話し始めたところで、景家が、お茶を持って戻ってきた。
『茉莉花様お茶をお持ちしました。』
すると、謙信が、
『景家か、、
入れ。』
『あ、謙信様。
失礼いたします。
それでは、ただ今謙信様のお茶もお持ちします。』
『いや、俺は茶はいらん。
旨い酒が飲みたい。』
『はい。
かしこまりました。』
(景家もそこに座れ。』
『はい。』
『いま、茉莉花の部屋のことを話していた。』
『はい。』
『ここにあるものは、急ぎ集めたものだから俺の趣味ではないとな、、、』