第3章 愛運の結びまで
その茉莉花の唯一つの提案が思わぬ方向に有効活用される事になりそうな風向きになった。
と言うのも、信長と茉莉花の祝言を本丸の謁見の間にて行うと、秀吉が進言してきたのだ。
秀吉曰く、普通の祝言は1日だが、天下布武を成し遂げた、天下人織田信長の婚姻の宴となれば、常人では考えられないほどの規模で行った方が良いと、考えたのであろう。
結果、婚姻の行事は5日5晩行われると言うのだ。
各国の国主だけではない、民らにもこの婚姻を祝わせたいと、民を想うやさしさ溢れた秀吉ならではの考えである事は、疑う余地がない。
それならば本丸の完成披露も含め、信長の威光を翳す事が出来ると考え、未だ嘗てない程の豪華絢爛な本丸が作られている。
そんな建築中の本丸の様子を見ながら、茉莉花は、
『凄いですね、、、信長様。』
『何がだ❓』
『この本丸です。
本当に、、、、
信長様だからこそ、こんなに素晴らしい本丸御殿ができるのでしょうね、、、。』
と、にこやかに微笑めば、、、、信長が
『いや、、
これは貴様の考えであろう。
俺は貴様と天守で過ごせれば良いのだ、、、。』
『私もそうでございますよ。
信長様と一緒に居られるのなら、、、、。
、、、、、、でも、それだけではダメなのです。』
『ダメだと❓』
『はい。
信長様はこの日の本を統一された唯一無二の存在、誉れ高き天下人でございます。
その天下人の元には、日の本の各地を収める国主がおります。
その国主が、信長様のお考えを伺いに来るのです。
その時こそ、天下の織田信長の人となりを皆に知らしめる絶好の機会だと思っております。
ただ、、、私達の祝言を此方で行う事になるとは考えも、至りませんでしたが、、、、。』
ふふっと楽しげに笑った。