第1章 私のこころの行方
そうして、謙信は、宿に戻って、文を書き始めた。
城にいる、家臣の景家にあてたものだ。
内容は、近いうちに客人を連れて帰る。
しばらく滞在するから部屋を準備し、弓、着物、化粧、など全て用意する様に。と
そして最後に、早々に準備を終え、蒼を連れてこい。と
書かれていた。
この文を、早馬で城に届けさせた為、何事かと驚いたが、その手紙を読み進めるうちに景家は、一体どう言うことなのかと、しばし逡巡しながら、、、、
もしかして、謙信様が何か厄介ごとに巻き込まれてやむなく連れて来ることになったのか、、、
着物に化粧、、、
それはおなごを指しているどちらの姫君なのだろうと着物など一式を用意しろとは、ただ事ではない、ましてや、謙信様がそれは大事に育てている蒼を連れてこいとは、、、。
どう言うことなのだろう、、、。
愛馬のもう一頭は、謙信様が乗っていかれているはず、、、。
馬泥棒にあったのか、、、❓
あれやこれやと考えている景家の頭の中は、ますます混乱していた。