第3章 小さい···大太刀?
蛍丸の刀が私の脇腹に当たる
『あっ…?』
蛍丸「…同じ苦しみを味わえ」
蛍丸の眼の色はさらに紅みが増している
ピリッ・・・
きっと切れ目が入ったのだろう。脇腹に痛みが走る。
それでも、こんな状況でも、私は諦めちゃいけない。
私が諦めたら、此処はもう……
キィンッ
蛍丸「!」
これ以上私の体に刃の侵入は許さないと言う様に、私の持っている短刀は、淡く、それでいて強く光っている。
この子を助けなきゃ…
蛍丸「まだ抵抗できるほどの力持ってるんだ。でも、その短刀で俺に…っ!?」
蛍丸を助けなければと頭がいっぱいになっているの神力と短刀の力が合わさり、薄紫と金色の光が蛍丸の刀を包んでいく。
乱「なに、あれ…」
蛍丸の刀装の投石兵も動きを止める。
蛍丸を完全に包んだ光から、蛍丸の感情や過去が全て私に流れ込んでくる。
赤い髪の、鼻に絆創膏を付けている小さな一振が折られ、顕現され、折られの繰り返し。
…この刀の絶叫が聞こえる。
少し胸元の会いた眼鏡をかけた一振は出陣し、軽傷、中傷、そして重症は…手入れすらされず、飾り物のように何処かの部屋に置かれている。
…この刀の諦めが伝わる。
そして蛍丸の異常な程の出陣。赤髪の子の刀解や折られる瞬間を、柱に縛られ、強制的に見せられている。
…とても強い、憎悪、殺意を感じる。
なんて、酷い。悪夢のような、現実。
『…そう。こんな事が……』
流れ込んでくると同時に、私の、蛍丸やこの本丸に対しての感情を流し込む。
蛍丸「やめて…やめろ…!俺の記憶を、…っあ、ああぁっ!?この感情は、嫌だ、こんなの、嘘だ…!!」
『……蛍丸。』
ふわりと、微笑み、優しく、蛍丸の名前を呼ぶ
蛍丸「あ……あぁ…」
ガチャッと、刀を落とし、私に少しずつ近づいてくる蛍丸の心臓に
トスッ・・・
私の刀を、まるで鍵穴に鍵をはめるように、押し込むように刺した。
ブワァァァーーー・・・
刺した箇所から紅い桜の花びらが舞い、薄れ、消えていった。
もう眼は、元のマスカット色に戻っている。…よかった。
蛍丸「…………ありがと…」
そう言うと、蛍丸はトサリ、と私の肩に倒れ込んできた。
『うん…辛かったね…もう大丈夫…忘れて、ゆっくり眠って…』
蛍丸「……おやすみ、主…………」