第8章 狙われた彼女
『そんなに葉月家の実権が欲しいんですか?』
「元々、あの女と結婚したのもそれが目当てだからな。」
『分家が実権を握れるとでも?』
「本家のお前がいる限りは無理だなぁ。だからこそ今こうしてるんだろ?」
『私がいなくとも兄さんが当主なのに?』
「お前をコイツに嫁がせて、俺は野郎を殺し指輪を奪う。本家の人間がいなくなれば分家が跡を継ぐしかなくなるから必然的に俺に話が廻ってくる。」
とんだ下衆だ。
先生とコナン君もそう思ったのだろう、表情が歪んでいる。
『……あぁ、なるほど……貴方が殺したのね、私の両親を。』
「っ!?」
「そうだ。俺があの女と付き合ってる時に計画がバレてな……邪魔だったんで分家側を唆して殺した。ちょうど分家側も実権が欲しくて堪らなかったんだろう……簡単にノってくれたよ。」
『だけど、分家側は二分されていた。』
「あぁ、知らない間にお前の父親派とジジイが養子を取った。」
愛の父親派なんていたのか。
だから指輪のレプリカを作れたんだな。
『私が婿を取らずに嫁に行けば本家と切れる、そうすれば兄さんだけになる……か。』
そう呟いた彼女は下を向いて肩を揺らす。
恐怖からじゃない、愛はこんな状況なのに笑ってるんだ。
「な、何が可笑しい?!」
『貴方……なぁんも調べてないの?』
「調べ尽くしたさ!」
『調べ尽くしたなら睦月さんの存在は無視出来ない筈でしょう?』
「あんなジーさんはいくらでも何とか出来る。」
『ジーさん……ふふっ……ほら、なぁんも知らない。』
「……っとっとと犯せ!」
「じゃあ遠慮なく……」
隣にいた男が彼女の服に手を掛けた瞬間、コナン君がサッカーボールを蹴る。
愛には当たらず、男の横っ面にヒットし彼女から離れた隙に僕と先生が乗り込んだ。
「愛!」
「おら!大人しくしてろ!!」
「な、何だ!お前ら!」
「愛お姉さん大丈夫?!」
分家の婿であろう男を先生が取り押さえ、僕は彼女を犯そうとした男を拘束する。
コナン君が彼女を解放しながら心配そうに顔を覗き込んでいた。
危険な目に遭ったにも関わらずキョトンとした表情の愛。
『……え、と……何で此処に……?』
「睦月さんが、お姉さんがいないって……拐われたって言ってたんだ!」
それを聞いた彼女は力なく笑った。