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Dearest【降谷零夢】

第3章 近づく距離


愛が携帯を取り出す。
だけど奴は笑ってそれを止めた。

「違うよ、今周りにいるじゃないか。君の友人達が。」
「周りにって……鳥しか……」
『……っ』
「そう、鳥だよ。沢山の人を見ている鳥達なら詳しく教えてくれるんじゃないかな?」
「何言って……」
「ほら、彼を信頼してるなら出来るだろう?」

振り向いて愛を見れば、その顔には恐怖と絶望が現れていた。
瞳に涙を浮かべ、緩く頭を横に振る。
その仕草が俺を信頼していないみたいに思えた。

「……信頼…されてなかったのか。」
『違う……』
「……信頼されてなくて当たり前だと言ったじゃないか、この世界の人間ですら極僅かしか信頼されてないのに違う世界の君が信頼されてるなんて可笑しいだろう?」
『もう黙って!この人を止めて!!』

周りに誰もいないのに、誰かに助けを求める愛。
その声に答える様に辺りの鳥達が奴に群がった。

『今のうちに帰ろう!』
「え……」

腕を引っ張られて走る。
マンションに着いて部屋へ向かう。
その間も俺の方を見ようとしなかった。

「……愛、話してくれないか?」
『……。』
「アイツの言う通り俺は信頼してないってわけか。」
『違う、違うの……』
「じゃあ何で!」
『零は優しいから!』
「優しい?」
『優しいよ……優しいからこそ、私なんかの事話したら気にしてしまう……』

両手で顔を覆い隠して本格的に泣き出した愛の手を顔から離すように掴み、しゃがんで下から顔を覗き込むと初めて見る泣き顔に胸が苦しくなった。

「(こんな形で見たくなかったな。)話してくれない方が気にするよ。一緒に暮らしてるのに何もしてやれない、こうして泣いてても拭ってやれない。」
『……れ……い……』
「確かに俺は愛の傍からいなくなるけど、一緒にいられる間は支えたい。」

流れていく涙を親指で拭って出来るだけ優しく笑いかける。
笑ってる彼女も泣いてる彼女も、どんな愛でも愛しいと思う。

「好きだよ。」
『……え……』
「俺は愛が好き、一緒に料理したりして楽しいし俺自身、気が楽になる。だから話して欲しい。」
『……話したら、きっと……他の人みたく怖がるし……嫌いになる……』
「ならない。」
『……話すの怖い……零と……いられなくなるの嫌……』

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