第2章 確認と進展
ジュー...と肉の焼ける音がする。
「この肉美味ぇ...!」
ガツガツとお肉を頬張る南くん。
「こっちも焼けましたよ」
焼き上がったお肉をそれぞれの取り皿に乗せる。
仕事が終わって、職場の皆で焼肉を食べに来た。
部長は会議、吉井さんはお子さんのお迎えがあるそうで居ない。
「先輩焼いてばっかで全然食べてないじゃないっすか!
ここのお肉美味いですよ」
「じゃあ、少し焼くの休憩して食べようかな」
タレをつけて大きいお肉を口一杯に頬張れば、幸せな気分になった。
「美味しい...!」
分厚いのに柔らかくて噛み切りやすく、そして何より脂が美味しい。
「美味いか?
ほら、もっと食え」
焼き上がったばかりのお肉をお皿に乗せてくれる北見さん。
「満腹です...」
お肉はもちろんのこと、サラダやデザートも美味しかった。
ついつい食べ過ぎてしまうくらい。
「満腹か、そりゃ良かった。
腹が満たされれば人間幸せな気分になる」
クシャリと髪を撫で、3人分のお会計をする北見さん。
「北見さん、出しますよ」
「いーって。
たまには奢られろ」
「ありがとうございます...!
ご馳走様です」
「ご馳走様です、北見さん。
次居酒屋行きましょうよ!」
「お前はまた俺の財布に集る気か?
今日は早く帰ってやらねぇと、嫁さんが怒るんだわ」
じゃあな、と先に車で帰って行く。
「嫁さん...か。
良いなぁ......」
無意識に言っていた。
「穂乃香さん、俺の嫁になりますか?」
「へ...?」
「穂乃香さんの中にまだ色濃く残るあいつを、1秒でも早く追い出したい。
俺じゃ、ダメですか」
「...南くんにはもっと良い人が居るよ」
「穂乃香さんより魅力的な女性なんて居ません。
俺は...あなたが好きです」
真っ直ぐ見つめるその瞳から、目を逸らすことは出来なかった。