• テキストサイズ

Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部



「…今度ブタモグラのステーキ屋さんに行こうか。美味しい所があるんだよ」
「行く行く! 連れてけ!」
「カミナの居たジーハ村の村長さんが始めたみたい」
「…げっあの村長がかよ…」
そう言いながらも食事を進め幸せそうなカミナ。見ているだけで幸せな気分になれた。

(そういえば…フォーク一緒に使っちゃった)
幽霊でも間接キスになるんだろうか?

「どした? 顔赤いぞ」
「…なんでもない!」
「…?」
「…ねえ、うちにはお酒なんて無いから後で買いに行こう」
「おっ良いなそれ」
またにこにこと笑顔になるカミナを見て、更に幸せな気分になるのだった。



「そうだ、幽霊も寝るって言ったよね? うちで寝れば良いよね」
ぽんと手を叩く私に、一杯になった腹を擦りながらカミナがきょろきょろと周りを見回す。

「うちで…ってここか? 誰かと住んでねェのか?」
「私はここで一人で暮らしてるよ。独りで気楽だし」
本当はカミナが死んでしまってから人と深く関わるのが怖くて、などとは言えず。簡潔に、だが嘘も混ぜて説明した。
「私一人だし気兼ねしないでね。寝床は流石に一つしか無いけど…」
誰かが家に余ってる寝具があるって言ってたなあ…と仲間の顔を思い出そうと首を捻る私に、身体を起こしたカミナが口を挟む。
「そこまで世話になる訳にはいかねェよ」
困ったように言うカミナに慌てて手を振った。
「世話をしてる訳じゃないよ。私はカミナともっとお話したいし、一緒に居たいよ」

そう言ってからしまったと思った。これでは私の好意に気付かれてもおかしくない。
しかし言葉が溢れてしまう。
「みんなに何か伝えたい事があれば私が伝えるし。で、出て行きたくなったらいつでも出て行って良いから」
どもってしまった。これではいけないと気を取り直すが。
「カミナが好きに過ごせる場所が一箇所くらいあっても良いじゃない。ご飯も作るよ。私この一年で無茶苦茶料理上手になったんだから」
駄目だった。言いながらもう既に瞼が熱かった。

どうしても声が滲む。カミナがここに居てくれるなら何だってするのに、上手く言えない。
/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp