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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


カミナシティの自宅に戻る前に、整備部に顔を出した。
ちょっと用事があって任されている仕事を数日休みたいと伝えると、仲間達は笑顔で見送ってくれた。
どうも自分は思った以上に混乱しているらしい。カミナときちんと話をしたいし、その為に時間が欲しかった。
物珍しそうにきょろきょろ周りを眺めるカミナに目配せをして、一先ず自宅に一緒に戻った。

(そっか…カミナはテッペリンを知らないんだ)
王を亡くし、既に人間の町になっていた元王都で現カミナシティ。
「カミナの名前を付けたんだよ」
と伝えると、彼はとても嬉しそうだった。
カミナの笑顔が久々で思わず見入ってしまう。

「…どした?」
「なっ、何でも無いよ」
「…?」
カミナが首を傾げる。
(…やだ、どうしよう)
カミナを連れて自宅の玄関をくぐる。後ろから「へェ」とか「ほう」とか感嘆しながら付いて来る彼。
薄暗い自室に二人で入ると一気に緊張して きた。

幽霊が部屋に居る。だがそんな事は問題では無い。
問題なのはその幽霊がカミナで、それが私の一番好……


「、帰ってたんだ」
突然、ヨーコが家を覗き込み声を掛けてきた。
「わぁっ!?」
文字通り飛び上がる。
「ヨッ、ヨーコ! ななっ何? 何かあった?」
「…何驚いてんの?」
「ななななななんでもななないよう!!」
「…変なの」
ヨーコが首を捻りつつも、訪ねた用件を伝える。

「整備の仕事、ちょっと休むって聞いたんだけど本当?」
「あー…うん。ちょっと…やる事が出来ちゃって」
「そうなんだ。人手もあるし大丈夫だから気にしないで」
「そっか…わざわざありがと」
ようやく落ち着きを取り戻せた。息を整えてから、怪訝な顔をしているヨーコに顔を向ける。

「て言うか…はちょっと働きづめだし、この辺でお休みして下さいって。これはシモンから」
「…そっか、シモンが」
私が呟くと室内の空気が揺れた気がした。

「じゃあ御言葉に甘えて、少しお休みするね。本当にありがと、ヨーコ」
「言い出したのは私じゃ無いわよ」
「でもヨーコが伝えてくれたんだし」
ありがとう、と微笑む。ヨーコは何故か耳を赤くして横を向いてしまった。
「とっ、とにかく伝えたから。じゃあね」
「うん。今度お茶飲みに来て」
了解、と手を振ってヨーコが去ってしまった。後に残るのは私一人。




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