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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


「、総司令って何だ」
押し黙っていたカミナが呟く。
(この町で一番偉い…と言うか代表の事かな。今の大グレン団のリーダーはシモンだから、シモンになって欲しいってロシウが言ってる)
シモンに聞こえないように素早く伝える。
「じゃあシモンに伝えてくれ」
(…何?)
「シモンにはそいつが合ってる。お前の役目だ躊躇わずにやれ。ってな」
(…分かった)

カミナの気持ちが痛い程伝わる。こみ上げる想いと共にシモンの大事な『アニキ』の声を伝えた。
「シモンに合ってると思うよ」
「えっ?」
「総司令。カミナなら言うと思うんだ、躊躇わずにやれって。…頑張って!」

途中まで聞いてぽかんとしていたシモンが、その最後の言葉に胸を突かれたようにはっとなる。
「…がそう言うならそうなのかもって思うよ」
「そうかな…」
「そうだよ。…なんだかアニキに言われたような気がした。不思議だね…ありがとう」
「……」
私がちらりとカミナを見上げると、カミナは眩しそうにシモンを見ていた。

「でっかくなったなあ…シモン」
ぽつりと漏らしたカミナの声が、切なくて、嬉しかった。


「そうだ、用事って急にどうしたの?」
そういえば、と思い出したようにシモンが私に首を傾げた。
「あ!? ああ…うん、ちょっとね。そうだ、ヨーコから聞いたよ。シモンが休んで良いよって言ってたって。ありがと」

まさかカミナが居るからしばらく仕事を休むとは言えない。取り繕う私に何かを感じたのか、気遣うようにシモンが口を開く。
「だってずっと休まないで仕事してたじゃないか。ちょっと位休んだって誰も文句言わないよ」
「それはシモンやヨーコもそうでしょ」
「…そうかなあ…」
もじもじと手を擦り合わせる様子が、昔のシモンを思い出させた。

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