• テキストサイズ

Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


久々にゆっくりと眠った朝。
簡単に朝食を済ませ、これからカミナシティを見て回ることにした。

「あそこにシモンが居るよ」
「あー…本当だな。おーいシモーン!」
「シモーーン!!」
「あ、手ェ振ったな」
「ほんとだ」

傍から見れば私が一人、何かの像を建設中のシモンに向かって手を振っているように見えるだろう。
だが昨日までとは違い、私の横にはカミナが居るのだ。
この世界の中、誰にも気付かれずに。


カミナシティの真ん中。テッペリン戦の跡地に建設中の公園。その中央に巨大な石塊が置かれている。
まだそれは形らしい形になっていないが、カミナシティの誰もがその完成を待ち侘びているそれ。
「あ、降りて来た」
その上の方からするすると器用に降りて来る小さい影。
それが地上奪還の『もう一人の英雄』シモンだ。

「…シモン」
私の隣で呟く声が聞こえた。カミナから見てシモンはどう映るのだろうか。
胸が詰まりながら出来るだけ普通に振舞いシモンに話しかけた。

「こんにちはシモン。だいぶ進んだ?」
ゴーグルを額に上げ作業で薄汚れた上着で顔を拭ったシモンは、困り眉毛で微笑んでいる。
「それがあまり進まなくて。ロシウが色々違う仕事持って来ちゃってさ」
「総司令、だっけ」
「うーん…ロシウがどうしてもやれって言うんだけど」
俺にはこっちの方が向いてるんだけどなあ、と巨大な石塊を見上げる。

それはカミナの石像。このカミナシティのシンボルになるもの。
カミナに説明は済ませていたが、まずどうしてもここに連れて来たかった。
肝心のカミナはと言うと「俺の巨大な石像だァ? こっ恥ずかしくて見れねェよ」と言いつつも満更でも無さそうな顔をしていたが。

「まずみんなにアニキを見て欲しいんだ。アニキの名前の町にアニキの像。アニキが見てるから頑張ろうって思うから」
皆と言いつつもシモンは自分に向かって言っているのか。私に対しても途中から独り言のようになっていた。

「そっか…」
シモンに言ってあげたい。あなたの大事な人はここに居るよって。

/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp