• テキストサイズ

Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部



蛇口を捻り栓をしたバスタブに湯を張る。
今でこそ個々の家に風呂が設備されるようになったが、少し前までは共同浴場だった。
それも良かったけどゆっくり入れるようになったのはありがたい。

私はお風呂が好きだ。良い匂いのする石鹸でシャボン玉を作ったり、湯に鼻まで浸かって考え事をしたり。
…カミナを思い出して泣いても、全部お湯に流れて行くので遠慮無く泣けるのが良かった。


「カミナ、お先にどうぞ」
バスルームから顔を出し、部屋に居るカミナに声を掛ける。
「シャワーの使い方教えるよー…って! ちょっと!?」
「おう。今行くぜ」
「そうじゃなくて! なんでもう脱いでるの!?」
「風呂だろ? 裸にならなきゃ入れないじゃねェか」
「せめて隠して!!」
あろう事か、カミナは早々に全部服を脱ぎ捨て、全裸だった。かろうじて背中を向けていたのが幸いか。

「嫁入り前の女の子の前で裸にならないでください!!」
「あァン? 見られて減るモンじゃ無し。むしろ増え…」
「変な事口走んないで!!」
懸命に顔を背け、カミナをバスルームに押し込んだ。
「いい!? お風呂の使い方教えるから湯船に入ったら言って!」
「へーい」

気のない返事をしてカミナがバスルームに消える。
(ホントにもう…デリカシー無いなあ!!)
タオルを用意しながら真っ赤になって怒る。正直ドキドキしたが、呆れる気持ちの方が大きかった。


「入ったぞー」
「はあい。じゃあお邪魔するね」
バスルームから声がしたので、一応声を掛けて覗き込んだ。良かった、踏ん反り返っているがきちんと胸まで湯船に浸かっていた。
入れておいた入浴剤のお陰で乳白色になった湯色で、思った通り胸から下は見えない。
「タオルは外に置いておくから必要なら使ってね…ってどうしたの」
湯気の向こうに見えるカミナは、あからさまに憮然としていた。睨みつけられている気すらする。

/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp