第1章 悪戯好きの黒猫
「あ…あの、お取り込み中すみません鬼灯様…」
この異常な空間に流されてはいけない。
ハッとそう気付いた唐瓜がおずおずと話しだした。
「あ、忘れてた。唐瓜くんの取り次ぎできたんです」
だから決してサボりじゃないです!と主張すると、今度は五月蠅いとチョップが飛んできた。
ひどい。
「用件は?」
「はい!天国の桃源郷から人材貸出の要請が…」
うん。これで無事に取り次ぎ完了。
まぁ失ったものは多いけど(主に血液とか)、鬼灯様と遊べて満足だし、戻って書類片付けようかな。
椿がそう決めて閻魔庁へ戻ろうとしたその時。
「鬼灯様~~~」
「あ、茄子くんだ。ひさしぶりー」
「あ、椿さんこんにちは」
「どうしました茄子さん?」
あ、挨拶してる場合じゃなかったんだ!と茄子くんは鬼灯様に向いた。
「桃太郎とかいうのが来て…」
「桃ですか?いりません」
「えー勿体ない!鬼灯様要らないなら私欲しいです。下さい」
「お役所はそういうものはいただかないのが基本ですよ。賄賂関連のスキャンダルなんて面倒なんですから。もし問題起こしたら、大釜に放り込みますからね」
「えー…」
桃美味しいのに。残念。
でもちょっと大釜気になる。
「あ、いえ…別にお中元とかじゃないんですけど…とにかく来て下さい!!」
茄子くんはそういうとぐいぐいと鬼灯様を引っ張っていってしまった。
それを眺めながら私は、ひっぱられる鬼灯様も素敵だ…等と思っていた。
思っていたら、不思議なことになんか足がついて行ってた。