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黒猫の悪戯

第1章 悪戯好きの黒猫


私の名前は柳川椿。
閻魔庁の庶務担当です。

つまりは補佐官の下っ端。
具体的にいうと、第一補佐官・鬼灯様のサポート係になります。








1.悪戯好きの黒猫










「閻魔大王様ー!!阿鼻地獄で川が氾濫しています!」
「あの天国から要請書が…」


今日の閻魔庁は大忙しである。

…仕事って1つくると重なるよね。
この現象を証明できたら結構凄いんじゃないかにゃ?
今度暇な時に考えてみよう。
んで、証明できたら名前付けよう。
シュレディンガーの法則みたく、【柳川の法則】にして学会に発表しよう。

そんなことを考えながらも、歩調は掛け足・両手には大量の書類を抱えた状態で私はその場を通り過ぎようとした。

ただでさえ鬼灯様が視察でいないぶん仕事溜ってんのに関わりたくない!!私は私の仕事があるんじゃ!
…という気持ちの表れだったのだが。


「あ、椿ちゃん!」


ギクッ

そっこーで閻魔大王様に気付かれました。
ついてない。でも仕方ない。


「…はーい」

「ちょうどよかった!唐瓜くんのこと、鬼灯くんのところつれていってあげてくれるかな?」

「鬼灯様なら今視察中ですよ?」

「そうなんだけどさー。ワシ一人じゃ追いつかないから、天国からの依頼回しておいて」

「わかりました」


なんでもかんでもまわすと怒る気がするけど…まぁいっか。
最悪、全部閻魔大王様のせいにしよう。
大丈夫、事実私のせいではない!!


とりあえず今持っていた書類を自分の机に置く。


「じゃあいこっかー。えと、唐瓜くん?」

「すみません、お手数お掛けします」


ぺこっと頭を下げる小鬼くん。
かわいくて礼儀正しいって素晴らしいね!!


「あ、椿ちゃーん!」

「はーい!まだ何か?」

「帰ってきたら、こっちもお願いね~」


閻魔大王様が『こっち』と指さした先にも書類の山。
…ねぇねぇ、よく考えよう?無理じゃね?

やれと言われればやるけどさ。お仕事ですから。

はぁとため息をついて、とりあえず今のことは忘れる。
まずは目の前のことから。


「私は椿だよ。よろしくね」


まぁ鬼灯様に会える理由ができたし、いっか。
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