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審神者が死んだ日

第11章 陸奥守吉行




主「ねぇ陸奥守」

陸奥守「何じゃ?」

主「もし私が居なくなったとしたら、貴方はどうする?」


審神者と陸奥守吉行は恋仲にあった。
若月が雲から見え隠れする夜、陸奥守の腕に抱かれながら審神者は不意に問い掛ける。
考える事もせずに陸奥守は再び口を開いた。


陸奥守「絶対、離さんき」

主「言うと思った」


クスクスと笑って、審神者は呟く。
しかし、陸奥守には見えぬ様に彼女は表情を曇らせた。
再び口角を上げ、審神者は ふふっと軽く笑う。


主「じゃあ、私が死んじゃったら?」


彼女の明るい声音で紡がれた言葉は、無数の棘となって陸奥守自身に突き刺さった様な、そんな衝撃があった。
離さない、離れない…そう言わんばかりに彼女の体を強く抱き締め、陸奥守は静かに呟く。


陸奥守「そん時は、わしも死ぬ」

主「それは駄目!陸奥守が死ぬのは私が辛い!」

陸奥守「わしにはそがに究極の選択を迫っちょいて、狡いがぜよっ」


審神者の両脇に手を差し込み、こちょこちょこちょっと擽る。
審神者の元気の良い、何とも楽しげな笑い声が本丸中に響き渡ったのは言うまでもない。

翌朝、審神者の所持する政府との連絡用の電話が鳴り響いた。


主「はい…」

政府「話があります、至急此方までお出で下さい…貴方お一人で」


最後の言葉は冷たく、有無を言わせぬ何かがあった。


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