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審神者が死んだ日

第8章 加州清光





そっと彼女の顔に掛かった布を外し、死んでしまったという彼女の顔を見下ろす。
喉がからからに渇き、息が詰まる様な感覚に息を呑む。



加州「…主、俺って可愛い?」



しん、と静まり返る室内。



加州「ねぇ、俺の事愛してる?」



触れると冷たい彼女の身体。
言葉を発する事も無く、動かぬ彼女。



加州「ねぇ…っ!俺の事、もっと好きって…もっと愛してるって…言ってよ…っ!」



静かだった室内に、加州の鼻に掛かった涙声がこだまする。
彼女にすがる様に抱き付くと、その冷たさに胸が締め付けられ鼻の奥がツンと痛む。
絶えず溢れ出てくる涙を止める術など見当たらず、加州は彼女を覆う布団を涙で濡らす。


二日後。審神者の葬式も骨納めも終わり、加州はあの離れの小部屋で一人膝を抱えて座っていた。



加州「俺も……折れたら主と同じ所に行けるのかな…?」



審神者の死に、心は病んでいく一方だった。
小さく呟き自らの刀を抜いて自身へと刃を向けた瞬間…彼女の温もりが自分を包んだ様な気がした、気付けば持っていた刀を落としてしまっていた。



加州「主…俺はちゃんと、主を愛せてたのかな?」



右目尻から涙が零れる。



加州「主、愛してる…」



自らの爪に塗った爪紅が剥げてしまっている事にも気付かず、加州は彼女の髪を結っていたリボンを抱き締め、自らの膝に顔を埋めた。



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