第8章 加州清光
加州「ねぇねぇ主、俺って可愛い?」
主「ええ、勿論!貴方は私の自慢だよ、加州」
加州「ねぇ主、俺の事好き?」
主「大好きよ、だって私の大事な子だもの」
就任した時は、まだ十代の娘だった審神者も年々年老いていく。
十代、二十代、三十代…と時は経て彼女の美しかった黒髪は白髪に、顔には皺が刻まれていった。
加州清光は夢を見ていた、楽しくて楽しくて仕方なかった頃の夢。
自分と変わらぬ年程に見えた愛らしい娘だった頃の彼女、年を重ねて美しくなっていった彼女、そして年老いて弱々しくなってしまった彼女。
加州の夢の中で彼女は年を重ねていった。
主「ねぇ加州、私ね…加州の事が…」
加州「俺の事が?」
二十代だった頃の彼女は、とある想いを秘めていた。
言い掛けて口を閉じてしまった彼女に問い返すも、それ以来…彼女の口からその先の言葉を聞く事は無かった。
どうしても知りたい、どうしても聞きたい。もしかしたら自分に対して不都合な事なのかも知れない、けれど加州は彼女の言葉を聞いてしまいたかった。
それが出来なかった、何故なら嫌われてしまう事を怖れてしまったから。