第4章 薬研藤四郎
出陣した刀剣男士達が、審神者を連れ帰った。
皆、浮かぬ顔。
彼女の腹に突き刺さった大太刀が、彼女の命を吸いとっている様にさえ見えた。
近侍で医学知識のある薬研藤四郎が、彼女の世話をかって出た。
次の朝、大太刀が抜かれ必死に止血した傷痕が痛々しい腹部には確りと包帯が巻かれていた。
薬研「悪いな大将、もうちっと我慢してくれな?」
痛み止め等の薬を彼女の隣で煎じながら、彼女に笑い掛ける。
まるで、笑っていないと不安だとばかりに。
時折苦しそうに呻く度に薬研は彼女の額に浮かぶ汗を拭い、頬を撫でた。
薬研「きっと、大丈夫だ。大将は意外に丈夫なんだろう?なら、俺に丈夫さを見せ付ける良いチャンスじゃねぇか」
なんて、冗談を挟む薬研の眉は不安に歪められていた。
そんなやり取りは暫く続き、三日目の夕暮れ…。
薬研「なあ大将、痛いか?苦しいか?」
彼女は答えない。
連れ帰った次の日の昼から、一切声も発さなくなってしまった。
意識の無い彼女に、優しく声を掛けては寂しげに眉を下げる。