第1章 存在
そんなある日
今日も俺は、彼女の姿を暗闇から見つめる。
男「彼女ひとり?俺と遊ばない?」
「結構です」
男「いいじゃん!」
嫌がる彼女に迫る男。
太輔「彼女嫌がってるんだけど」
彼女を見捨てることができず、思わず姿を見せてしまった。
男「あん?お前には関係ねぇだろ!」
彼女を庇いながら、男を威嚇する。
俺の後ろで震える彼女………
ヴァンパイアの姿になれば、こんなヤツ簡単に片付けられる。
けど、彼女の前ではそれはできない。
男「女の前だからって、カッコつけてんじゃねぇよ」
俺を散々殴りつけた男は、気が済んたのかその場を去っていった。
太輔「いってぇ………無茶苦茶痛めつけてくれて………」
俺が顔を上げると、頬に冷たい物があてられた。
「大丈夫ですか?私のせいでこんなになって………ごめんなさい」
彼女が濡らしたハンカチを頬にあててくれていた。
太輔「あ、ありがとう。俺は大丈夫だから……あなたの方は大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
太輔「よかった………」
初めて間近で彼女の笑顔を見た。
彼女の笑顔はふんわりと優しく、心から落ち着いていくのがわかった。