第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
「……っ!?」
それは突然だった。
覚さんと英太さんの言い合いを微笑ましく見ていたら、そんな言葉が後ろから聞こえてきたのは。
途端に吹き出る汗。自然と顔が強張っていくのが分かった。
『初めまして。白鷲様』
聞き間違いでなければ、今確かに後ろにいるであろう彼はそう言った。
(まさか……)
私の事を『白鷲』と知っている、或いは分かるのは大婆さま、茶尾、鍛治さん、妖怪達––––
(まさか……!)
そして『黒鷲』しかいない。
……その選択肢の中から消去法で考えるなら、間違いなく、今私の後ろにいるのは黒鷲だろう。
「っ……」
まさか向こうから接触して来るとは思いもよらなかった。振り向いて黒鷲の姿を確認したいのに、まるで金縛りにあったように身体が動いてくれない。
(どうして……!)
……覚さんと英太さんは、話に夢中で私の変化に気付いていない。声を出そうにも、身体同様に機能してくれない。
それをもどかしく思っていると、また黒鷲が後ろから話しかけてきた。
「貴女様がわざわざ人間の姿になりここに来たという事は、俺を捜しに来た、という事でしょう」
(バレている……!)
その事実に動揺するけど、相手には気取られないようにグッと身体に力を入れる。でも、そんな私の努力空しく、まるで見透かしたように黒鷲はクスリと小さく笑った。
「貴女様が俺を見つけて下さるのを、楽しみに待っています。……せいぜい、頑張って下さいね」
その言葉を最後に、後ろにいた黒鷲が遠ざかって行くのが分かった。それと同時に、身体と声が自由になった事も。
「っ、待ってください……!!」
これ幸いにと素早く後ろを振り返るけど、黒鷲らしき人はいない。その代わりに、先程の私の大声に驚いた3年生の人達が一斉に見てくる。……普段なら恥ずかしい状況。でも今は、黒鷲の事で頭がいっぱいだった。