第13章 幕間2
『白鷲』の姿を見るようになったのは、多分俺がこの白鳥沢学園の高校生になった頃からだと思う。それからずっと、まるで俺を見守るように見ていた白鷲が、一昨日の朝くらいから見ていない。
この辺りの地域から離れてどこか違う所に行ってしまったのか、それともずっとやっていた行動に飽きたのか分からないけど、その事実に寂しい気持ちが湧き上がっているのは分かった。
……自分でも驚いている。言い方は悪いけど、たかが鳥の姿が見当たらないだけでこんな気持ちになる事に。それだけ、あの白鷲は俺にとってただの鳥じゃない、という事だろうか。
(本当に、分からない事だらけだな……)
また視線をノートに移し、『真白』と書かれた文字にそっと指を這わす。
いっそこの不可解な事を全部、悩みのひとつである真白に聞いたら解決するだろうか。
(……いや、待て工!)
そう思ってから、慌てて自分に待ったをかける。
いきなり「お前の事知ってるような気がするんだけど、どこかで会った事ある?」なんて聞いたら、真白にドン引きされるに決まっている。それに、何かナンパの常套句みたいで嫌だ。
せっかく仲良くなれたのに、嫌われるような事はしたくないのが本音だ。
「……ヤバ」
う〜ん…と悩んでいるうちに、瞼が自分の意思とは関係なしに勝手に下がり始める。ベッドで寝なくちゃと思うのに身体が動かず、代わりに首がこっくりと上下に揺れた。
「真白……」
無意識に彼女の名前をそっと呟き、眠気に逆らう事が出来ずにそのまま意識を手放した。