第10章 潜入、白鳥沢学園1日目〜バレー部と顔合わせ〜
「よし、全員終わったな。それじゃあロードワーク行ってこい!」
全員分の自己紹介が終わり、鍛治さんがそう声を掛けると、みなさんは元気に返事をしてから体育館を出て行く。その姿を見送っていると、工が近づいてきた。
「?どうしたのですか?つ……五色くん」
「俺、今日こそ牛島さんを抜いて1番に帰ってくるから、見てて!」
「え……」
「じゃあ!」
工はやる気十分といった感じでそう言うなり、私の返事も聞かずに手を上げて去って行ってしまった。
……工がいつも牛島さんを越えようとしているのは、ずっと上から見ていたら知っている。でもその時の私の姿は白鷲で、『私=白鷲』だと工は知らない筈だ。なのに、まるで私がずっと見ていたのを知っているかのような口ぶりだった。
その事を疑問に思いうーん、と考えていると鍛治さんに呼ばれ、慌てて返事をしながらこの疑問は一旦保留にしておく事にした。
「何で俺、白鷲にああ言ったんだろう?」
工も私と同じく疑問に思っていた事を知らずに。