第7章 幕間
すべての授業が終わり、彼ら……白鳥沢バレー部員達は今日の放課後も来たるべき時のために厳しい練習を開始する。準備体操から始まり、ロードワーク、サーブ練習、レシーブ練習、ブロック練習、3対3のミニゲーム。これらをやっている時の彼らは大量な汗をかきながら辛い表情を浮かべるが、それでも生き生きとした満ち足りた様子を見せていた。……所謂、ここにいる全員、もれなく『バレー馬鹿』なのである。
そんな中、1年生ながらレギュラー入りを果たしスターティングメンバーにも選ばれた五色は、時折体育館の2階にある窓をチラチラと見ては少し落胆した表情でため息を吐いていた。
その様子にいち早く目敏く気付いた天童は、休憩時間を利用してスポーツドリンクとタオルを片手に五色に近づいた。
「工〜、お疲れ〜。はい、スポドリとタオル」
「えっ!?わ、わざわざありがとうございます。天童さん」
「いいのいいの。これぐらい気にしないで。……それよりさぁ、工に聞きたい事があるんだけど、いい?」
「聞きたい事、ですか?」
「うん。いやね、練習中時々体育館の窓の方を見てはちょっとがっかりした顔してたから、どうしたのかなぁと気になっちゃったんだよねぇ」
「ぶっ……!」
天童のその言葉に、五色は飲んでいたスポーツドリンクを吹き出しゴホゴホと咳き込む。その様子をたまたま近くを通りかかった白布が、まるで汚ねえなと言うように冷めた視線を五色に向けていた。だがそんな事、咳き込む五色とその背中を焦りながらさすっている天童が気付く事はなかった。
「ちょっ!?大丈夫!?」
「は、ごほっ……はい!だい、ごほっ……大丈夫です!すみません!」
「……いや、何かこっちこそごめんね。もしかして、あまり聞かれたくない事だった?」
「いえ!そんな事ないです!ただ、気付かれていた事に驚いただけで……」
五色のその言葉に、今度は天童が吹き出す番だった。あんなにバレバレで、気付かなかった者がいなかったかもしれないぐらいだったのに、まさかバレていないと思っていたとは。その事実が可笑しくて、天童は遠慮なしにゲラゲラと笑う。