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白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第6章 黒鷲


「……という事が朝に起こったのですが、どう思いますか?大婆さま」

中へと入り朝起きた事を掻い摘んで説明し終えると、大婆さまは難しい顔をして小さく唸り声を上げた。その横では、鍛治さんが「授業中なのに弛んどる!」と怒っている。「まあまあ」と鍛治さんを落ち着かせてから視線を大婆さまに向けると、答えが見つかったのか難しい顔から真剣な顔に変わっていた。その表情に、自然と背筋がピンと伸びるのが分かった。

「これはわたしの推測だが、多分……いや恐らく、その学生は『黒鷲』だろう」
「……黒鷲?」
「知らないのも無理はないだろう。何せ黒鷲は昔起こった妖怪と人間の戦争で絶滅したと言われていたからな」
「絶滅……!?」
「ああ。……たが、どうやらその言い伝えは間違いだったらしい」

そこから、大婆さまは『黒鷲』について説明してくれた。
黒鷲は白鷲の直属の部下で、私達と同じ様に人間になる能力を持っていた。関係はとても良好で、何も問題はなかったという。
だがある日、黒鷲の首領が不満を漏らした。いつになったら人間が滅び、我ら妖怪の時代が現れるのだろうと。それを聞いた白鷲の首領が厳しく咎めたら、冗談だと笑い飛ばしたらしい。
そこでこの問題は解決したと思われた。でも、解決などしていなかったのだ。何故なら、妖怪と人間の戦争を引き起こしたのは黒鷲の首領だったのだから。
人間を絶滅させ、妖怪だけの世界をつくる。それが黒鷲率いる首領の願いだった。



「だが結局、その願いが叶えられる事はなかった。何故なら–––」
「戦争は、人間側の勝利で終わったから」

私の言葉に、大婆さまは大きく頷いた。
戦争の事は知っていたけど、そんなに深くは知らなかったのでその事実に驚いた。そしてひとつの疑問が湧いてくる。

「どうして黒鷲達は、妖怪だけの世界をつくりたかったのでしょうか?」

二つの種族は互いに助け合い、共存していた。仲良く暮らしていた筈なのに、どうして彼らはそんな考えをする様になってしまったのか。そこだけが、どうしても分からなかった。

「すまないなぁ。それはわたしにも分からぬ」

でも、大婆さまもそれは分からないみたいで、静かに首を横に振るだけだった。



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