第4章 怪しい視線
「……?」
工の授業を見守っていると、不意に感じた視線。それを不思議に思い、目線を工から感じてきた方向に移すと、2階下の教室からだと分かった。
「……っ!?」
そこに目をやった瞬間、自分の呼吸が止まり心臓も一瞬止まってしまったんじゃないかと錯覚してしまう程の衝撃を受けた。何故なら–––––
「…………」
工と同じ制服を着た男の人が、授業そっちのけでこちらを凝視していたからである。その血の様な赤色の瞳からは隠しきれない狂気と興奮を感じて、身の毛のよだつ思いをした。
(何で……?何でこっちを凝視してるの……?)
人間から見たら私はただの『鷲』にしか見えない。まさか、まさか私が『妖怪』だと気付いたのだろうか。でも、今の人間の間では、妖怪は空想上の生き物だと認識されている筈だ。だから……もしや、あの人は妖怪の存在を信じている人なのだろうか。
「っ!」
いくつも心の中で自問自答していると、男の人の視線が私から前に移った。きっと先生に呼ばれたのだろう。底知れない恐怖から解放されてよかったけど、あの嫌な感覚はまだ自分の中でぐるぐると渦巻いている。
(これは、大婆さまに相談した方がいいかも)
自分で解消しきれないなら、大婆さまに相談するのに限る。
私は一度授業を受けている工の横顔を見つめてから、大婆さまの所へ行くべく空へと飛び出した。