第4章 小林君の欲情
ピチャン…ピチャン…と、蛇口から落ちる水滴が水溜まりを作っていた。石鹸の香りと、カビの臭いが混ざりあう浴室はとても殺風景で、下のタイルが酷く冷たい。
「小林っ!こんな事して許されるとでも思ってるのか?!」
剥き出しになった水道管に両手首をネクタイで縛り上げられた瑞希は、ネクタイの無い胸元までシャツが開いた小林を鋭く睨み付けた。
そう、このネクタイは小林の物だ。急に風呂場まで呼び出されたと思ったら押し倒され、今の状況に至る。迂闊だった。何か思い詰めているような、かといって妖艶な雰囲気をかもし出している姿にもっと注意をするべきだった。
「…す、すいません鷹島さん…。でも俺…」
「何がすいませ……ん、ん__!!」
言っている途中で唇を合わせ、もうこれ以上は言わせないとばかりに吸い付いてくる。今まで溜めていた気持ちを爆発させるように強引かつ激しく唇を奪い、瑞希の唾液の味、舌の感触、そして吐息までも堪能し始めた。