第2章 帰還
「分かったわ。で、それはそうとユウ」
「ん?なに―――ってレン!?」
私は迅を抱きしめた。
平静を装っているようだが、幾分か疲れと無理しているような感じが伺える。何だともがく迅を無視して、できるだけ優しく問いかける。
「風刃。手放したんでしょ?」
「っ…」
ピクリと反応したのが分かる。僅かだが、確実に一瞬動揺した。
「どうして、なんて聞かないわ。あまり何かに固執しない貴方があそこまでして勝ち取った最上さんの風刃を意味もなく手放すわけないもの」
「レン…」
「私の前でまで無理しないで?」
そう優しくいって少しだけ腕の力を強める。重要な役割を請け負うことが多い人は内に溜め込むことが多い。きっと彼も色々と溜め込むタイプだ。
「…ありがとうレン。悪いけど、もう少しこのままでいてくれ」
「えぇ。いくらでも」
私の背にも迅の腕が回され、お互いに抱きしめ合う体勢になる。私達はそうして暫くの間何も言わずに互いの温もりを感じていた。