第6章 くろねこ(ツインズ誕)
ナルが目を覚ますと、目の前に黒猫がいた。
その色素の薄い瞳はどこかで見た気がするが、思い出せない。
どうやら座ったまま、リビングのソファでうたた寝してしまったらしい。
ああ、そうだ。
今日は朝食の後、ソファに座って操からもらった資料に目を通していたらいつものように清が来た。
彼女はルエラと話した後、自然とナルの隣に座ってファッション誌を読み始めた。
次にマーティンとルエラが少し買い物に行ってくると家を出た。
そのままソファに座っていたが、そのうち清がうとうとし始めた。
「昨日、ケイトと夜遅くまで遊び過ぎちゃった」と言って。
清に肩を貸してその穏やかな顔を眺めていると、こっちまで眠くなって、知らない間に意識を手放していた。
隣にいたはずの清はいない。
黒猫が「にゃー」と鳴いて頬を手に擦り付けてくる。
この猫は一体どこから入って来たのだろうか。
猫を無視して、清の姿を探すが見つからない。
1階から2階へ上がり、窓から庭を覗く。
その間も猫がトコトコ後ろをついてくる。
もしかしたら家に帰ったのだろうか。
そう思ったとき、背後から声がした。
「ナル、何やってんの?」