第5章 彼の日常
バスがホテル近くに着き、歩いていたところを女性陣+ジョンと鉢合わせた。
「ぼーさんと安原さん!どこ行ってたの?あれ、そんなお土産私達行ったとこにはなかったよ?」
「ケンブリッジ大学のカレッジを見に行ってたんです。いやぁ、楽しかったなぁ」
「アンタ達、カレッジ巡りで一日使ったの?もったいない…」
「俺達はお前とはオツムが違うんだよ。知的なの。何たって、ナルとその彼女と……」
「「え??彼女!?」」
(ああ…、滝川さん自爆……)
「うそ、ナルに…?」
「彼女って何よ!?ナルにそんなのいたの!?」
「聞き捨てなりませんわ…。詳しく話していただかないと…」
女性陣に詰め寄られるが、たまたまトリニティでナルに出会って、ナルが彼女のように可愛がっている黒猫がいたとどうにも苦しい言い訳をしてその場を乗り切った。
その話に安原は猫耳を付けた清の姿を想像して不覚にも一人で笑ってしまい、ジョンに不思議がられた。
部屋に戻ってから、ジョンにだけは今日の話をした。
キングスのチャペルがすごかったとか、セントジョンズのため息橋に行ったとかカレッジの話をする安原に自分もカレッジを巡りたかったと羨ましそうにジョンは話した。
滝川は清も一緒にカフェで一緒にランチしたとか、お気に入りの図書館で勉強していたとか、いつもの黒ずくめじゃなかったとか、ほぼナルの話をしていた。
安原は「博士の日常に触れ合えてよかったですねぇ」とからかうように言って、滝川を赤面させたのは言うまでもない。
END