第4章 Home sweet home
夏休みを目前に控えたある日。
麻衣の元に手紙が届いた。結婚式のような白い封筒に差出人はSPRの文字。
中身を開けると"皆さんの日頃の功績に感謝して、イギリスにご招待します"と書かれてあった。予定は8月上旬からの約一週間。
そう、本家のSPRからの招待状だったのだ。
「ねぇねぇ!皆のところにも届いた!?」
麻衣が渋谷サイキックリサーチに出勤すると、いつものメンバーが顔を揃えていた。
「コレでしょ。SPRからの招待状。渡航費も滞在費も全部タダなんて随分太っ腹ね」
綾子は綺麗にネイルされた指でひらひらと招待状を仰いだ。「ま、アタシは出してもらわなくても行けるけどね」と付け加えて。
「皆も行くよね!?」
「そりゃそうだろ、嬢ちゃん。本家のSPRの誘いなんて、こんなチャンス二度とないぜ」
滝川はすまして言った。
「だって最愛の博士に会えますもんね」
「てめぇッ…!」
ぼーさんを赤面させたのは安原だ。
実はナルは長期でSPR日本支部を離れていた。
6月に戻る予定と聞いていたが、まだ戻ってきていない。今のボスはまどかだ。
ちょうどその時、ドアが開いた。にこやかに出勤してきたのは噂の彼女だ。
「あら、皆さんお揃いね」
「まどかさん!こんな招待状送ってくるなら早く言っといてくださいよ!」
慌てたようにまどかに食い付く麻衣にいたずらっぽく笑った。
「谷山さんのびっくりする顔が見たかったの。皆さん、予定は大丈夫でした?返信は私が預かりますね」
それぞれが出席に丸を付けて、まどかに手渡す。
そっと真砂子が麻衣に話しかけた。
「楽しみですわね、麻衣」
「うん!海外旅行なんて初めてだし。それに…」
彼のこと、またいろいろわかるかもしれない……!