第3章 シンクロ〈new!〉
念のため病院に行ったジーンは特に異常はなく、自宅で安静にしているように言われて帰宅した。
「大事にならなくてよかったわ」とルエラは心底ホッとしていた。
ジーンは部屋のベッドに横になる。心配した様子で清もちょこんと隣に座った。
「ごめんね、ジーン。こんなことになるなんて…」
「気にしないで、清。ちょっと足が滑っただけなんだ」
頭にはたんこぶができていて、まだヒリヒリするけどすぐに治るだろうと医者は言った。
「それにしても何なの、ナルのあの態度!ちょっとは心配してよね!もー、あの心霊オタク…」
清は憤った。だって頭を打ったあの状況で全く心配せずに、まるで自業自得だと言わんばかりだった。
(清って、もしかしてナルのこと好きなんじゃないかと思ってたけど…)
ナルの悪口を並び立てて怒る姿はそうとは思えなかった。
(違うんならよかった…)
(何がだ?)
(わっ!?勝手に繋がないでよ!)
(…怪我はどうだ?)
(もう大丈夫。じっとしてるのが退屈だよ。なんだ、ナルも心配してくれてるじゃん)
(勝手に死なれたら困るからな)
(うん、ありがとう)
「ジーン、邪魔しちゃ悪いし私もう帰るね。ゆっくり休んで」
「うん。清もありがとう」
清が部屋から出るのを見送って、ジーンは穏やかな気持ちで目を閉じた。すぐに眠気が襲ってきて、夢の中に旅立つ。
(何の準備もできてないまま、死なれても困るからな……)
兄にもしものことがあったとき、弟が何を企てているかなんて彼はまだ知らない。
END